キョウワコーポレーション

OUR STORY

OUR STORY開発者への思い

車いすを利用される方、介護をされる方の
心と体の負担を少しでも軽くして、笑顔になれるお手伝いができないか。
約4年にわたって、この課題に取り組んできました。
木の車いすが誕生するまでを振り返ってみます。

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使う人のことを考えているか

自動車メーカーの開発者だった私が、介護機器を製作するようになったきっかけは母です。
大病を患って足腰が弱くなり、車いす生活となりました。
母が最も困ったのは立ち座り。
彼女を楽にする車いすを探し、いざ電動車いすを使い始めてみると、立ち上がりを助ける斜めになる座面によってお尻が滑って膝をついてケガをしてしまったのです。
「使う人のことを考えているのか」
それが、私の車いす開発の原点です。

なぜ車いすを降りなければならないのか

母がMRI検査を受けるとき、検査室の前で車椅子を降り、両脇を抱えられて入っていきました。
ある日、空港で車いすを利用する方を見かけました。
一般的に車いすは機内持ち込みができないため、手荷物として預けることになります。
代わりに用意されている金属製の車いすでは、保安検査の金属探知機を通過できません。
車いすから降りるか、手持ちの探知機でのボディチェックを強いられます。
「なんとかならないか」
非金属性の車いすを開発する中で、「木」という材質にたどり着きました。
完全木製車いすなら、磁気の影響を受けることはありません。

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完全木製をかなえる発見

果たして、「木」で車いすを作ることができるのか。
木製の部品が体重や車輪から伝わる強い衝撃に耐えることができるのかという問題がありました。
研究資料や歴史をあさり、かつて鉄が品薄になった時代に、プロペラの材料となった「強化木」を知りました。
合板に圧力と熱を加えると、アルミと同等の強度が得られます。
この技術との出会いで非金属性の完全木製車いすが誕生しました。

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もっと笑顔が増えますように

車いすから椅子へ、ベッドへと移るとき、体を持ち上げることなく横移乗できればとっても楽です。
ひじ掛け部分をワンアクションで付け外しできるようにしました。
ブレーキは通常3つの部品で構成されているのを、2点の部品ですむように開発しました。
ひじかけ、ブレーキの2つの工夫は特許を取得しています。
ヒールを履いた女性が車椅子の足置きに足を載せると、膝が高くなってスカートの中が見えることを気にされている様子でした。
そこで足置きに穴を開けてみました。
車いすの当たり前を一つひとつ見直し、工夫を加えてきました。

利用者の心を軽く、介護負担を軽く

木製の車いすは、まるで家具のような温かみを漂わせます。
全体デザインも特許を取得しています。
好きな色に塗ったり、絵を描いたりいてもいいかもしれません。
ファッションのように車いすで自分を表現できたら、車いす生活がもっと楽しくなるのではないでしょうか。

車いすを利用される方は、年齢も性別もさまざまです。
朝ヒールを履いて出かけて、帰りに車いすに乗ることもあるかもしれません。
私たちは介護が必要な方が自立でき、自分らしく生活でき、介護する方も極力手を掛けずにすむ構造を目指しています。
利用者の心を軽く、介護負担を軽く。
すべての人が笑顔になれるきかっけを生むことができれば幸いです。

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開発担当 柵木貞雄

平成10年にアグメント㈱を設立し、自動車用部品の設計を開始。21年に幼児2人乗用自転車「MaryLou」を開発・販売、26年には「非金属車いす」で茨城県知事選定を受賞するなど、新分野開拓で注目を集める。27年に㈱キョウワコーポレーションとジョイント。すべての人が笑顔になれる介護機器の開発に取り組む。

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